In 活動報告

 2023年7月に行ったアーティスト・イン・レジデンスの活動報告です。

1)取組の背景

 今回の取組は「夏にフランスから日本に帰省するので、パフォーマンスをする仲間を呼んで施設に滞在は可能ですか?」と、小辻太一さん(振付家/ジャグラー/ダンサー)の問い合わせから始まりました。打ち合わせを進める中で、大橋昂汰さん(ジャグラー/ジャグリング)、Ne Na lab(ダンス/パフォーマンスアート)の参加が決定しました。

それぞれのプロフィールは、こちらから↓
https://folklore-f.org/2023/06/01/12756/

 滞在までに数回のオンライン会議を行い、滞在のゴールや目的、その背景を事前に確認して、準備物や大まかなスケジュールを決めて当日に至ります。急遽、Ne Na labの杉本さんはオンライン滞在となり遠藤さんのみ現地参加、桜島と関東をつないで制作をすることになりました。

2)滞在制作

 今回の滞在は、3組がそれぞれのプロジェクトを進めるレジデンスです。必要な時に、協力しあって制作を行いました。旧改新小学校を拠点に、制作は校舎や桜島のあらゆる場所、ゲストハウスで寝食を共にします。生活の合間に、パフォーマンスやアイディアが飛び交うのは、レジデンスならではです。

 Ne Na labは食をテーマにしたパフォーマンスを発表しており、遠藤さんは月に1回間借りカフェでお店を出店するほどの腕前。滞在初日に食材を買い、その日の気分で調理して食べる食事はレジデンス中の楽しみになっていました。

大橋昂汰さん_学校や桜島の風景を活かした映像作品の制作

 ジャグリングの道具を持ち歩き、島内の様々な場所でパフォーマンスをし、その様子を撮影しました。新島にあるアコウの木の下、オリエンタルな雰囲気の飲食店、不思議な路地や坂道、地元の小学校などでボールを使った作品を撮りました。

 ぜひパフォーマンスが見たいと声が上がった定食屋(椿の里)では、急遽パフォーマンスを行い、その場に居合わせたお客さんから歓声が上がりました。島内には娯楽が少なく、コロナ禍でエンターテイメントに触れる機会は減っていたので、貴重な機会だったと思います。

撮影した映像は下記のYouTubeチャンネルで見ることができます。
https://www.youtube.com/@KoutaOohashi

Ne Na lab_桜島を歩き、調べ、発見した内容からパフォーマンス作品の制作

 今回桜島の生活や風土に着目し、パフォーマンスのテーマに決めたのは「風」です。桜島が噴火した際、どちらの方角に灰が降るか分かるように鹿児島県の天気予報では風向きが放送されます。また島内は海に面しているため、風の流れをダイレクトに感じます。

 桜島フェリーの船上、新島の丘、待避壕などへ行き、長い棒に袋をつけて風を可視化させ、それに合わせてパフォーマンスの構想を練っていきます。同時に、風やその時の雰囲気をスマートフォンに録音し、関東にいる杉本さんへデータを送ってパフォーマンスの音源を作りました。

小辻太一さん_日用品を使った誰でもできる新しい遊びを研究

 棒・ひも・段ボール・ボール・木の板などを使った、新しい手遊び・もの遊びの研究をしました。どんなことができるか?とメンバーで話し合い、道具の特性について考えながら、ものを動かして遊びを作っていきます。簡単な動きに徐々に制約をつけていき、ゲーム性を高めていきました。

 例えば、二人が段ボールの面を掌で支え、それを落とさないようにする遊び。最初は手だったものを体で抑えてみたり、掌で支えている面の向かいの面は抑えられないなど、ルールを増やしたり減らしたりすることで遊びが盛り上がっていきます。他には両手に持ったボールの渡し合いっこ、棒を掴みながら規則的に体を動かす遊び、立てた木の板を倒さないようにお互いに押し合う遊びなど、5つほどの遊びを考案しました。

3)オープンパフォーマンス

 レジデンスの終盤には、島内での制作内容を披露するオープンパフォーマンスを開催しました。桜島フェリーターミナルのコミュニティスペースを使い、多くの島民や観光客にパフォーマンスを見てもらいました。パフォーマンス開始までに、小辻さん、大橋さんがジャグリングをして、催しが始まることを施設にいる人に伝えます。

Ne Na lab 
 リサーチで体を動かし撮影した動画を見ながら感じたことを話し、その流れでコンテンポラリーダンスを披露しました。ダンスの音源は、各地でフィールドレコーディングし、関東にいるパートナーの杉本さんが編集したものです。会場内を広く使い、風のしなやかさと火山の力強さを感じさせ、その雰囲気に会場は圧倒されているようでした。

大橋昂汰さん
 ジャグリングを披露して、飲食店のLapitaや新島での撮影映像をもとに、滞在中のことを話しました。撮影した映像は、編集し直して何本かの作品となりました。その場所やその場にあるものを使うことでパフォーマンスが際立ったり、その風景に馴染むジャグリングの映像は、日常の桜島とは一味違う不思議な感覚を与えました。

こちらのサイトから制作した30分の作品を観ることができます。
https://filmuy.com/monogusa/video/860793957

小辻太一さん 
 長い棒と紐を使った、パフォーマンスを行いました。「身体を動かして面白い、見て面白いパフォーマンスや遊びづくりがコンセプト」だったと話し始め、自然と身体を動かします。それがパフォーマンスになる様子に参加者は釘付けとなり、身近なもので面白いことができると感じさせるパフォーマンスでした。

 会場には、期間中に出会った島民の参加や、大橋さんのジャグリングスクールの教え子も参加し、場を盛り上げていただきました。ご来場いただいた皆様には、この場でお礼申し上げます。

4)東桜島小学校でのパフォーマンスとレジデンス成果の共有 

 最終日には東桜島小学校で、大橋さんがジャグリングを、小辻さんがレジデンス中に創作した棒と紐のソロパフォーマンスを披露しました。昼休みの体育館で希望者だけの観覧でしたが、ほとんどの児童が見にきてくれて30分程度パフォーマンスを披露しました。タブレットで撮影する児童、恥ずかしいけど気になる児童、食い入るように見る児童など、楽しみ方はそれぞれでした。

 一部の児童には、小辻さんの遊び研究のプロジェクトにも協力をしてもらいました。子どもたちに滞在中に開発した遊びを紹介し、一緒に遊びました。初めての遊びに子ども達は抵抗がなく、みんなでワイワイと楽しむことができました。技術的に難しい場合は小辻さんがアドバイスをしたり、子ども達同士でコツを教えあっている様子が微笑ましかったです。

 最後に大橋さんも参加して、ジャグリングのミニレクチャーを行いました。教室にあるお手玉や持参したボールを使ってジャグリングを体験して、とても楽しい時間を過ごすことができました。

 

 今回のレジデンスは6泊7日と短期間の取組でしたが、3組同士の交流や、島民との交流により充実した滞在になったと感じています。島民は、どんな人が来たのだろう?と好奇の目を寄せたり、普段は体験できないことを体験することができました。3組は自分たちの取組に共感してもらったり、成果に対してポジティブな反応を得られたりしたことが励みになったと話しました。

 ご協力いただいた皆様、そして滞在いただいた3組には改めて御礼を申し上げたいと思います。また、ぜひお会いできることを楽しみにしています。桜島全体で皆さんの活躍を応援しています!!

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